※この記事では出来るだけネタバレを含まないようにしていますが、ゲームの性質上その仕様については触れるため、プレイ予定の方はクリア後に読むことをおすすめします。また、前作のプレイを前提に書かれています。

スコア:75
※ゲーム画像は随時追記していきます

前作、THE LAST OF US(以下、前作)に初めて触れたのは、ニコニコ動画の解説実況動画だった。確か2014年のことだ。

そこで今までゲームでは得ることがなかった衝撃を受けた僕は、いつか自分でプレイしようと心に決め、
実際に2016年、アルバイトで得た初めての給料でPS4とリマスター版のラスアスを購入し、一晩でクリアした。

ラスアスは、僕のゲーム人生にとって欠かすことが出来ない作品だ。
人生でBEST3のゲームタイトルを挙げよと聞かたら、僕は「ゼルダの伝説BoTW」と「THE LAST OF US」を迷いなく挙げる。

結論から言おう。「THE LAST OF US PART II」(以下、今作)は、空席の3本目のタイトルとなることはなかった。


・傑作の続編を作るということ


異論はあるかもしれないが、前作のラスアスは傑作だった。個人的には、完璧なゲームとさえ思っている。
その続編が出ると初めて報じられたのは、2016年の12月だった。

不安がなかったわけではない。

前作のエンディングは、プレイヤーに解釈の余地を残しつつも、それだけで完結した非常に優れたものだった。ここになにか付け足せば、それがいかなるものであれ蛇足になるだとうなと思っていた。

エリーとジョエルがその後どうなったのか。トミーたちと幸せに暮らしたかもしれないし、もしかしたら袂を分かったのかもしれない。あるいは、案外あっけなく感染者に殺されているのかもしれない。何にせよ、その先を公式が明言すれば、前作が保っていた輝きが失われるだろうと思ったのだ。

結果的に、今作をプレイして、前作の輝きは失われてしまった。

しかし、それは続編をプレイする以上、仕方のないことだ。続編を作るのならばこういう話にせざるを得ないだろうなと納得する気持ちもある。しかし、その損失に見合うだけの価値を、僕はこのゲームに見いだせなかった。

それでも、エリーとジョエルのその後について、ノーティードッグは最大限の解答を示してくれたと思う。その点については、開発陣にまず感謝の意を表したい。


・評価

さて、ここからは具体的なレビューについて書いていきたい。
僕は約20時間かけて、難易度NORMALで本作をクリアした。まずは良い点について。

流石というべきか、今作の作り込みは半端じゃない。
荒廃したアメリカを、圧倒的に緻密なデザイン、グラフィックで、一切の妥協なく描ききっている。
この「世界」に入り込めるというだけで、今作をプレイする価値はある。

新しい戦闘アクションもよかった。今作から「回避」が加わったことで、前作以上にスタイリッシュな戦い方が出来るようになり、戦闘の爽快さは増した。また敵AIが非常に賢く、常にお互いの生存確認をしたり、名前で呼び合ったりと、「結局ゲームなんだな」という失望なしに没入感を保ったままプレイできたのもの良かった。

また、ムービーシーンが非常に多い中で、ゲームプレイとイベントシーンの「繋ぎ」が実にスムーズな点も素晴らしい。これは前作からだが、こういったプレイヤー視点で違和感を感じない作りは流石ノーティードッグといったところ。ローディングを全くといっていいほど感じない点も、このレベルのゲームをプレイする上では考えられない。

以上のように、ゲームの「クオリティ」という側面において、今作は圧倒的だ。
グラフィック、UI、サウンド、戦闘、さらにはアクセシビリティへの配慮など、これでもかというレベルで高水準にまとめられている。


次にゲーム的な問題点を挙げる。

今作は、いわゆる「ワイドリニア」という方式で展開するゲームだ。

一本道のストーリーを追体験するリニア型のゲームでありながら、マップは広大で、攻略の面でプレイヤーにかなりの自由度が与えられている、と考えてもらえればよい。小さなオープンワールド型ステージを、いくつもクリアしていくゲームといえば、伝わりやすいだろうか。

その結果として、今作は圧倒的な世界観を構築することに成功しているが、一方で、プレイヤーがストーリーを進める上でこの手の方式は正直非常に疲れる。

序盤こそエリア全体を探索する楽しさがあったが、後半は広すぎて疲れるし、何よりストーリーがダレる。テンポが悪くなる、という言い方が正しいだろうか。

もちろん、エリア全部を探索する必要はないのだが、ゲーマーなら数あるコレクションアイテムを出来るだけコンプリートしたいものだし、何よりゲームデザイン的にマップ上の物資を出来るだけ集め続けないと、特に高難易度ではクリアが難しいレベルの難易度なのだ。

なので、ほとんど強制的にプレイヤーはこの広大なエリアを探索しつくす必要がある。

また、マップが広大になったおかげで、進行方向がどこなのかが非常に分かりづらくなっている。
前作では非常に自然な形で進行方向の誘導がなされていたのだが、今作はプレイヤーの自由度を優先したためにこういった問題が出てきている。その辺はノーティードッグも把握済みなのだろう。ユーザーアクセシビリティで進行方向をアナウンスしてくれる機能があるので、これはONにしながらプレイしたほうが良いだろう。

また、エリアが長すぎる、敵が多すぎると感じる場面が多々あった。
ゲームの「引き伸ばし」とさえ感じてしまうレベルだ。敵AIの強化も相まって、難易度的には前作よりも数段上がっているだろう。このせいで、正直周回プレイはあまりしたいと思えない。ゲームの構造上、効率化すればプレイ時間が短縮する、ということもほとんどないだろう。

あえて「正解のルート」を排除しているのだろうが、個人的には最適解なルートを進めば効率化が図れる、といったゲームらしさは残してほしかった。

また、これは個人差があるだろうが、前作をやり込んだ人ならば「あれ?このマップの構造前作と似てるな」といったシーンが散見するだろう。これをどういう風に捉えるかは人それぞれだが、個人的には「使いまわし」を随所に感じてしまってマイナスポイントだ。


以上が、このゲームの「ゲーム的部分」のレビューだ。
このゲームをこういったクオリティの部分で評価するなら、僕は90点を付ける。10点減点の理由は上記の通りだ。


残りの減点理由は、主にストーリーとストーリーテリングの部分についてである。

今作のストーリーについてはポリコレがなんだと言われているけれど、正直これは些細な問題だ。
確かに、制作陣が意図的にポリコレに配慮して今作を制作したことは見え見えだし、少し無理が生じている部分もある。ただ、それによって今作のストーリー的魅力が損なわれるかといえば、そういうわけではないと思う。

問題はその伝え方と、その内容の方だ。

今作は、前作のプレイが前提に制作されたゲームだ。前作未プレイでは話についていけないし、キャラクターに感情移入もできないだろう。

その意味で、ストーリーについては前作と比較せざるを得ない。

前作のストーリー進行は非常にシンプルで、分かりやすかった。
プレイヤーはジョエルと共に、時間をかけてエリーとの愛情を深めていく。1年という長い旅路を、しっかりと追体験しながら、ジョエルとプレイヤーの心情は常にシンクロしていたように思う。

前作がそういった意味でキャラクターに「感情移入」出来る構造だったことを考えると、今作はあまりに役割が「分散」されすぎている。

今作では操作キャラクター、時間軸が転々としながら話が進む。
こういった構造上、プレイヤーの役割は前作のように「主人公になりきる」ことではなく、俯瞰した神の視点で「物語を見届ける」ことになっている。この点で、今作は前作のような衝撃や、感情の起伏を感じづらくなっている。物語に入り込めないからだ。

前作がなければこれはこれで面白い試みだが、前作ありきなストーリーなため、必然的に前作と比較してしまうし、比較すれば前作のほうがプレイヤーにとって「心動かされる」ストーリーだったということになってしまう。

登場キャラクターも多すぎて、前作のように魅力を感じるキャラクターは減った。なんとか全てのキャラクターにスポットを当てようという努力は感じるが、成功しているとは言えない。逆に話が広がりすぎているようにさえ感じる。

また、その内容についても、分かりづらく、プレイヤーが置いてけぼりを食らっている感は否めない。

例えるなら、キャラクターが「製作者」によって無理やり台本を読まされているといった違和感があるのだ。

もちろんそれが当たり前といえば当たり前なのだが、キャラクターの行動や心理にプレイヤーがついていけない部分が多い。前作では感じることのなかった違和感である。

おそらく物語有りきでキャラクターを動かしているから感じる違和感なのだろう。
前作ではまずキャラクターがあって、その結果あのエンディングにつながったという実感がある。今作にはそれがない。

こういった諸々の問題点があるせいで、プレイヤーは感情の置き場をなくし、常に宙吊りにされながら物語を進めることになる。

物語そのものについても賛否有るだろう。

もちろん、「THE LAST OF US」の続編が出るという時点で、ストーリーが賛否分かれるものになるだろうことは予想がついた。その意味で出来る限りのものを描ききっているということは理解できる。

理解できるが、この程度のものならあえて作る必要もなかったのではないかという感情さえ芽生えてくるのだ。

今作には、前作「THE LAST OF US」を否定し続ける形でストーリーが進む。その意味で、前作を私のように半分「神格化」していたプレイヤーは常に不快感と戦いながらゲームをプレイすることになる。

今作をプレイしてしうと、もう前作を以前の熱量でプレイすることは出来なくなるだろう。

前作がモラルを超越した暴力を通して愛について語るストーリーだったのに対し、今作は暴力に対してモラルで殴りかかるありきたりなテーマに成り下がってしまった。今作→前作の流れなら物語の成長を感じるが、これではただ退化したテーマについて扱っている感が否めない。

何にしても、今作は前作と並ぶような傑作ではない。



海外のメタスコアで、企業レビュースコアとユーザースコアが乖離しているのも話題になっている。

正直、これも納得だ。企業系レビューとユーザーとでは、正直ゲームを評価する「土俵」が異なる。

企業系レビューは、ゲームが以下に「優れたものであるか」で点数を付けるが、ユーザーは「自分にとって良いものか」どうかで点数をつける。

ストーリーについてこき下ろしておいて何だが、今作は非常に「優れた」ゲームであることに疑いの余地はない。

しかし、それはユーザーにとってポジティブなものかといえば、そうではない。
ユーザーからすれば不快感が勝る。もちろん、それが製作者の意図であることは分かる。

今作はプレイヤーに有る種の感情の起伏を呼び起こすことには成功しているが、プレイヤーがそれを良しとするかはまた別の話だ。そして製作者は、それを「ユーザーの理解度」のせいにしてはいけない。

良いゲームとは何か。
どんなにクオリティが高くても、芸術的価値があっても、それに触れたものが不快になるようなものでは、それは良いゲームとは言えないのではないか。

陳腐な回答になってしまうが、ゲームはあくまで娯楽だ。

近年、ゲームを芸術作品として昇華しようとする動きをよく見る。
ここに、ユーザーと製作者のギャップが生まれてしまっているように感じる。


最後にもう一度、「THE LAST OF US PART II」の制作に関わったすべての人に敬意を表したい。
これは、正直僕が待ち望んだゲームではなかったが、しかしそこに注ぎ込まれた情熱はたしかだったろうと感じる。

この作品については再度プレイして、もう少し自分の中に物語を落とし込んでいこうと思う。
長い文章になったが、最後まで読んでくれた人がいてくれたなら嬉しい。